2ヶ月前、東京に住む広島出身の友人・モリから机の制作依頼をもらった。モリの彼女・ファッションデザイナーのユウコさんが仕事で使える机が欲しいとの事。
オーダーメイドは安くないし、デカイから送料もかかる。にも関わらず、「ヨシオカに作って欲しいんじゃ」と北海道に住むオレにわざわざ電話してきてくれた。
すごく嬉しかった。
それからモリとユウコさんのリクエストに沿って使用する木材・塗装のサンプル・図面を何度か送って調整を重ねた後、先月机を作り、その納品と別件での業者さんとの仕事の打ち合わせを兼ねて9月29日から10月1日まで東京に行ってきた。
モリと知り合ったのはかれこれ20年くらい前。オレが学生時代、モリは「スキニー&クロスボーンズ」というムサビを拠点に活動していたバンドのベーシストで、そのライブを門脇や次郎と観に行ってたのがきっかけで仲良くなった。
スキニーのメンバーは全員オレと同い年だけど、大学2年の時に初めてベースを手にしたオレにとって彼らの演奏やパフォーマンスは同い年とは思えない程堂々としていてカッコよかった。芸術祭(学園祭)等、学内のイベントではラストを任される事もあった人気バンドだったので、同世代のムサビ人だったら記憶にある人も多いと思う。
スキニーが新宿でライブを月1でやってると知ってからは「ぴあ」をチェックして欠かさず観に行ってたのだが、メンバーは全員広島出身、さらにファンも広島出身が多くて広島人の結束の固さを感じてたので、メンバーと面識があるとはいえライブ後の打ち上げに呑気について行っていいものかいつも迷っていた。そんな時「ヨシオカ、打ち上げいこーや」と声を掛けてくれてたのがモリで、それから連絡を取り合うようになった。
29日の夜は当時スキニーのライブを一緒に観に行ってた門脇と次郎を誘ってモリと4人で呑んだ後、ユウコさんが開いていたパーティーにお邪魔させてもらった。門脇と次郎とオレが集まるとどうしても下ネタがメインの話になってしまうのでユウコさんのパーティーに合流する前にある程度呑んで毒抜きしたつもりだったけど、ユウコさんたちと合流した後も結局下ネタの話になってしまった。
皆様スミマセン。
けど、まあ門脇と次郎の話術でユウコさんとユウコさんのお客さんにも楽しんでもらえた。はず?
ユウコさんは机の到着を本当に楽しみにしてくれてたようで、机が届くとオレと一緒に梱包を解き始めてくれた。
机は仕事に集中出来るようにと考えて装飾的なもののないシンプルなデザインにさせてもらった。木材はタモ。オイルフィニッシュ。
「気に入ってもらえるだろうか?」と内心ドキドキしながら梱包材の中から出したその机を見てユウコさんとモリが「頼んでよかった」と言ってくれた時はすごく嬉しかった。
ありがとうございます!
さらにモリはその机がユウコさんへの誕生日プレゼントだと言った。
そんな感動的な場面に立ち会えてちょっと涙腺が緩んだのだけど、そこでオレが涙なんか流すとおかしな事になる訳で。
というか、そもそもステテコはいてたオレがそんな感動的な場面に立ち会ってよかったのだろうか?
でもそんな大切な物を作らせてもらえて涙出そうな程嬉しかったよ。
素敵な二人だぜ。
↓これからここでユウコさんは新作のデザインを進めてくれるらしい。素敵な空間だった。
↓この下の2枚の写真は発送前に工房横で撮影したもの(念のため書きますが、脚は地面に直置きしておりません)。
ユウコさんがデザインするのはパーティー等特別な場所で着るドレスらしい。
という事はこの机の上でユウコさんがデザインする服を特別な日に特別な気持ちで着る人がいるという事。
という事はこの机がその特別な気持ちになる人と繋がるものであるという事。
という事はオレ自身がその特別な気持ちになる人とも間接的に繋がるという事。
それに気がついてからは作りながらそれを時々思い出し、一人興奮していた。
使う人の存在や使い方が見える物を作る時には自然と気持ちが入るようで、この机の制作中は集中力が長く続き、体がいつもより軽い、そんな感覚があった。
ユーザーさんとこんな距離感で物作りが出来るのが理想なんだけどなぁ。
と、オーダーメイドの醍醐味に触れたように感じる制作だった。
モリ、ユウコさん、ありがとうございました!
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