4/12 (木)
明日の朝9時半に帰国の途につくので、今日がドイツで動ける最後の日。
朝、久保田が寝てる間にメールチェックさせてもらおうとして、スリープになっていた久保田のMacを起動させたのだが、やたらとプラウザが勝手に終了するので再起動をかけてみた。すると、今度は電源は入っているものの、それ以上起動しない。何度再起動をかけても同じ。壊してしまったんだと思いすごく凹んで、そのまま久保田が起きるのを待ち、起きたところで事の顛末を話すと、久保田はおもむろにバッテリーを外す。そしてもう一度しっかりとはめ直して起動させると動き出した。「こんなショック療法で直るのってどうなんですかね?」と言うが、今までに何度かそうして直してるとの事。確かにそれは恐いが、しかし、とりあえず動き出したので本当にホッとした。明日帰る日だと言いうのに、もし壊したら一体どうすりゃいいのかと考え、かなり落ち込んでたから。
あらためてメールチェックさせてもらった後、下のパン屋でクロワッサンを買い、朝食。今朝は2個。
その後、久保田の新居に移動し、久保田が今日からすぐに必要になる、冷蔵庫と洗濯機を購入するため近くの中古家電屋に行く。まとめて買った分、少し負けてもらったその2点を、店の台車を借りて運んだのだが、どちらも日本で使われているものに比べるとかなり重い。特に洗濯機。何故あんなに重いのか?しかも何故横向きドラムにするのか?日本で使われているタイプの方が機能的だと思うのだが。
運び入れた後、嫁に頼まれたエスプレッソマシン(でいいのかな?)を探し歩く。前日、偶然にもミヒャエルが久保田にステンレス製のエスプレッソマシンをあげて、その時に、アルミニウム製のものはよくない、アルツハイマーの原因になる、と言ってたので、オレもアルミニウム製ではなく、ステンレス製のものを探したのだが、そうするとなかなか見つからない。
昼食にまたもや、そしておそらくこの旅最後のケバブ。結局何回食べたんだ?それからまた、ステンレス製のエスプレッソマシンを探し歩き、アレクサンダープラッツ駅前のデパートで見つけて購入。一旦部屋に戻って2時間程休んだ後、この旅最後の散策。選んだ場所は8日にも歩いたカールマルクス大通り。そこに建っている建物は非常に大きくて、かつとてもきれいな建物なのだが、それは東ベルリン崩壊前、共産党員だけが住む事ができた建物。自分たちだけこんな立派なところに住んでおいて、平等も何もないでしょうと思わずにはいられない建物。日本の共産主義の方々はこれを見てどう思うのかぜひとも訊いてみたい。
そんな事を考えながらカールマルクス大通りからアレクサンダープラッツまでを散策し、8時頃部屋に戻る。
その間に久保田はオレのために、知人から寝袋を借りてきてくれてた。久保田の新居にベッドはあるが、さすがに今晩もそこで二人で寝ようとは、オレも、久保田も思いません。
久保田に寝袋を貸してくれた方、ありがとうございます。それから久保田、10日間いろいろとありがとう。そんなこんなのお礼を込めて、今晩、オレが作れるあと一つの料理を作ろうと思ったのだけど、久保田の部屋にはまだ皿もフライパンも揃ってないので料理するのは諦めて、割と近くにあってなかなか美味しいという、ベトナム料理屋に行く事にした。
店に入ろうとすると、店内に先日の引っ越しで車を運転していたT君がいるのが見えたので、その席に近づいていった。すると、T君の前に座っている女性が「吉岡さん!!」という。
え?オレ?あんた誰?
近づいてみると、オレが大学で助手をやってた時に接点があった子が二人いる。
お前、何でこんなところにいるんだ?
オレがそう訊く前に「吉岡さん、こんなところで何してるんですか?」と先に訊かれたので、「久保田がベルリンにいるから、遊びにきたんだよ。そっちこそ何でこんなところにいるの?」とあらためて訊き直すと、海外青年協力隊としてこの3月までの2年間ルーマニアで活動してたんだそうで、日本に帰る前にルーマニアにも流れるドナウ川の源泉を見たくてドイツに立ち寄ったのだそうだ。もう一人の子は協力隊とは関係なく、ただ旅行をしているらしいのだけど、T君と大学時代のサークル仲間なんだそうで、それでベルリンでその二人がT君のもとで合流し、それからT君に連れられてこの店に来たんだそうだ。まさかベルリンでそんな偶然があるとは思いませんでしたよ。いや、既に札幌で一度会った事がある方とも久保田を介して再会してるんだよな。美術界、狭い狭い。
名前さえ忘れてしまったその二人に名前を訊いて名前が分かると、その子らがどんな学生だったかを段々思い出し、そこからは偉そうに、あいつは元気か、みたいな話をしながら楽しく美味しく、フォーを食べてたのだが、久保田はT君から、久保田の制作を手伝ってくれてるドイツ人が、久保田が文化庁の奨学金を取ったのを知って、給料を払ってほしいと言ってたと言われて、かなりブルーになってた。
久保田は前に、久保田が払える限りの金をその人に払ってあって、一応それで最後まで手伝ってくれるという話になってたらしい。ところが、どこからか久保田が奨学金を取ったという話を聞いたようで、それで、もう少し払ってほしいと言い出したらしい。
T君たちは食後どこかのライブハウスでライブを見るという事でオレたちより先に店を出たが、その後も久保田は凹んでた。その人がいないと出来ない仕事があるらしく、そうなるとやはり払わない訳にはいかない。今回取れた奨学金は今使える金ではなく、この9月からの向こう1年間の活動資金。久保田だって余裕がある訳ではないのだが。それをその人に言った奴はこういう展開になるのが分からんかったのだろうか?
帰り道。久保田は途中の店でワインを購入し、部屋に着くなり「いつものことです・・・。凹んでられない。」といって、飲み始めた。オレも一緒に飲み、最後に熱く語り合った後、就寝。
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