昨日、約4年ぶりに、大学で働いていた頃の同僚である吉野君と会い、久保田組スタジオのメンバー、キジマ君、タメソウ君、それからオレの後任のブンペイと国分寺roofに飲みに行った。
吉野君と最後に会ったのはオレの結婚パーティーの時。パーティーでは一芸を披露しますと言ってたのに、2日前になって急に出来ないと言って、当日の予定を狂わせた不届き者である。その後、彼はパリにいたオレに「ムッシュ ヨシオカ あの日は申し訳ありませんでした」というふざけた手紙を送ってよこし、オレの帰国前にアメリカに逃げていた(本当は家具作りの勉強をしていた)。
4年ぶりに会った彼は相変わらず頭部の左右に角のような寝癖をつけてニヤニヤしていたのだが、以前は頑にランバードを履き続けていたのに、昨日はニューバランスなんか履いていたのでガッカリした。
この男はかなりおかしい。数年前のある時、飲みながら突然訳の分からん事を言ったので今何と言ったのかと聞いたら、「何故あなたはそれを買ったのですか?」という意味のドイツ語だと答えた。何故そんな言葉を覚えたんだ?しかもそれしかドイツ語は分からんらしいし。その前に覚えるべき言葉があるだろ。
しかし、その時不覚にもウケたので、それ以来、飲んだら必ずそれを言わせてる。昨日も言わせた。
カウンターに外国人がいたので、そいつにも言えと言ったのだが、生意気にも恥ずかしがってそこでは言わなかった。
10時半頃、いつもより早めにroofを出たのだが、千葉の自宅まで3時間かかる吉野君は既に帰れない時間だった。しょうがないのでウチに泊めてあげた。
部屋では飲まずにすぐに寝たのだが、奴は寝る前に、オレが見せた現代美術のカタログの中にあった仏文を突然、変な情感を込めて読み始めた。何故か流暢だったが、調子に乗ってうるさいのでその本を取り上げた。
朝6時過ぎ、トイレに起きると、吉野君が薄暗いキッチンでボーッと座っていた。
酔いが覚めて居心地が悪かったのかもしれんが、オレに気がつくと帰りますと言って、すぐに帰る準備を始めた。
オレも急いで服を着て外に出た。そして駅まで一緒に行こうと思って吉野君を呼び止めた。明るい日差しの中で振り返った吉野君。その顔半分には昨晩枕代わりに使ってたクッションの模様が、どうやったらそんなにくっきりつくのかと思う程鮮やかについていた。
お前はやる事なす事、何故そういう事になるのか?
そんな顔をした人と一緒に歩くのは嫌なので、適当に道を教えてさっさと部屋に戻った。吉野君はその顔のまま、通勤時間の電車に乗って千葉へ帰った。はず。
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