「星の降る里芦別映画学校」というオレがこの町を出てから立ち上げられた組織(という表現は硬いかな)がある。
映画学校と名乗ってるということはやっぱりそこには映画制作を学びたい生徒がいて、それを指導する先生がいて、というのを想像していたのだけど、どうやら年中生徒と先生がいる、いわゆる学校という運営はしていなさそうで、その代わり毎年、ある時期に映画監督の大林宣彦氏を招待し、何かイベントを企画しているらしい。
というのがオレがここに戻ってくるまでの映画学校の認識。
で、この週末がその「ある時期」だったようで、今日「星の降る里芦別映画学校ウエルカムパーティー」というのが催されていたので参加させてもらった。ゲストはもちろん大林宣彦氏、それから大林監督の最新映画「その日のまえに」の主役である南原清隆氏(ウッチャンナンチャン)、同作に出演されている村田雄浩氏。
大林監督はテレビで見た通りの人だったが、ナンチャン、それから村田さんは、テレビで見るより全然かっこ良かったよ。特にナンチャンは。
実は大林監督はオレが今働いている父の会社に数年前に来た事がある(町を一望出来る山の中腹に会社があるためだと思われる)。そんな縁もあってオレの親は会社の敷地で採れるキノコを送った事がある。それを監督は律儀にも何かの雑誌で文章にして下さった事がある(名前は出て来ないけど)。
だからオレは「監督!!初めまして!!僕、キノコの息子です!!」とか名乗ればおそらく監督はオレがどこの誰かを理解して下さると思われ、そこから接点を作る作戦で近づくつもりでいたのだが、過疎化が進むこんな小さな町でも大林監督やナンチャンが来るとなると人も集まる訳で、監督はじめゲストの皆さんはパーティー中ずっと参加者から写真やサインを求められており、奥ゆかしいオレはそこをかきわけて「どーも、キノコの息子です」と名乗れる勇気はなく、ホセ・メンドーサがジョーのパーティーに参加した時のように壁際でじっと一人で立っていた。オレがホセ・メンドーサ級のオーラを発していたとしたら、ホセがジョーの肩にギュッとアザをつけたようにオレも監督他ゲストの皆さんの脳裏にギュッとアザをつけられたところだが、残念ながらオレにはそんなオーラはなく・・・。
この手のパーティーがあるといつも書く事だが、オレはこういうパーティーが苦手でしょうがない(それなら行くなよと言われてしまうかもしれんが、でもこの手のパーティーがこれからの人生に必要な事も理解している)。
という訳でゲストとの接点は全くなかったのだが、しかし、頭一つデカイ背丈と田舎では目立つ事この上ない長髪のせいでか、このイベントの縁の下の力持ち的な方々には話しかけられ、そこで伺ったお話しは有意義かつ面白そうな事であったので、オレが彫刻の制作をしている事、アート方面になら繋がりを持っている事を話し、今後お手伝い出来る事があればお手伝いさせて下さいとお伝えした。
で、肝心の映画学校だが、あるテーマに沿った短編映画を一般公募し、大林監督他審査員の方々でその中から優秀作を選ぶという活動をされているのが分かった(ウエルカムパーティーの中でその受賞者の紹介もあった)。縁の下の力持ち的な人達の心意気に触れ、オレにお手伝い出来る事があれば、と書いたのは上の通りだが、しかし、オレがキリンアートアワードで奨励賞を頂いた時の大賞作品は映画だったのだが、その監督さんから、映画の資金を確保する為に同じ志を持つ仲間と安アパートで共同生活をしているという話しを聞いているせいか(確か6畳の部屋に2段ベッドを二つ入れて4人で生活していると聞いたように思う)、映画製作はそれくらい大変なものだと認識しており、だからこの学校の活動にもそれくらいの情熱を期待してしまうのだが、さてどうなる事か。
明日は映画「その日のまえに」の上映。
見てきます。
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