今のオレは「怖い」とか「話しかけにくい」とか「暗い」とか、嬉しくないイメージばかり持たれるけど(昨秋発売されたスロウには「テンションが低い」と書かれてた)、小学生の頃のオレは、ほとんどの人が今のオレと同一人物なのかと思う程、小さくて華奢で声も高い、外見は子供店長以上にさわやかな少年だった。
だけど、中身は自分でも飽きれる程馬鹿で、たとえば給食時間に周囲にいるクラスメイトを笑わせて、「こいつ、給食吹き出したー!!きったねー!!」といって理不尽な辱めを与える悪童だった。一度、隣りに座ってた女の子が牛乳を口に含んだのを見計らって笑わせた時、咄嗟に口を塞いだ彼女の鼻と目から行き場を失った牛乳が流れ出してきて、なかなかエグイ光景を演出した。直後、担任にものすごい怒られて、泣かされて、その時にした変な顔は担任により禁じ手にされてしまったのだけど、それでも少年ヨシオカの馬鹿は治らなかった。
確か小学2年か3年生の時に、シャープペンシルが流行った。流行り始めだったせいか、学校側もまだ「持ってくるな」とは言ってなかったように思うのだけど、とにかくオレのペンケースにも何本か入ってた。で、ある日の休憩時間、それを一本鼻の穴に突っ込んでプラプラ揺らしてみたらウケたので、調子に乗ったオレは立ち上がり、もう片方の鼻の穴にもう一本を入れて変なダンスを踊った。オレが思い出すその時の光景はクラスの皆がオレを見て笑ってる光景。ま、全員とは言わないまでも、かなりの人が見てたはず。
皆にウケてるのが嬉しくて、その状態がいつまでも続くように、揺れると鼻から抜け落ちそうなシャープペンシルを鼻で吸い上げながら変なダンスを踊った。
馬鹿ではあるけど、ちょっとした芸人根性ではないか。
でもやっぱり馬鹿である。
この後、エラいことが起こる。
笑わせたい欲求が満たされてシャープペンシルを鼻から抜いたら、シャープペンシルのキャップが両方の鼻の奥に残ってしまった!!
きっと吸い上げてたからだ!!
指を入れてほじくり出そうとしても、キャップはこちら側が凹んでて取れない。それどころか、指で押されてしまい、ますます奥にいく。
鼻の上から、歯磨き粉の最後の一絞りをひねり出す時のように上から下に押してみたけどキャップは全く動かない。鼻が刺激されて涙が出てくる。
鼻が変な形に膨らんで、涙を流しながら鼻に指を入れたり、上から擦ったり、パニックになる少年ヨシオカ!!
口を開けてればとりあえず息は出来るので、口で息をしながら呼吸を整え、対策を考える。だけど、シャープペンシルのキャップが鼻の中に入ったまま生き続けるのだろうか?と考え、その姿を想像すると落ち着いてなんかいられず、取り出そうとするのだけど、指を入れても擦ってもやっぱり取れない。
その時、神様の声が聞こえた。
「悩めるシゲトよ、吹き飛ばしなさい」
渾身の力を込めて鼻から息を吹き出したら、片方のキャップが勢いよく出てきて、もう一つも、同じ要領で何度かトライしてるうちに出てきた。
一生鼻の穴にキャップが詰まったまま生き続けるかもしれない難局から脱出できたのだけど、その時のオレは涙が出てるだけでなく、両方の鼻の穴から鼻水も勢いよく吹き出してエラい姿になっていて、しかも鼻水まみれになったシャープペンシルのキャップが転がってた。
その後、周囲は今までの復讐をすべく、「こいつ、きったねー!!」と言ってたのは間違いないだろうけど、オレにはその記憶が全くない。
そんなだからオレはいつまでも学習しないのだろうけど、でもよく「罰が当たるかも」と考えるのはこの時の経験からかもしれないともちょっと思う。
少しは成長してるのかも。
でも最近、自分の子供を見ていると同じような事をするんじゃないかと心配になる。
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