前回触れた北海道新聞のコラム「朝の食卓」2011年3月5日に掲載して頂いた文章を転載します。
ここで触れてる「富山の友人」とは、このブログでも以前触れた岩崎努という大学で同期の彫刻家。
木彫岩崎/岩崎努の世界
「朝の食卓」の執筆にあたり、当初の目的だった自分のバカをネタにした文章は残念ながら書けなかったけど、岩崎他、制作でオレが刺激を受けてる人は結構紹介出来たように思う。
「富山の友人」
先日、富山に住む友人と久しぶりに電話で話した。彼は、欄間の彫刻で有名な富山の井波彫刻を学んだ木彫家で、とても緻密で繊細な作品を丸太から彫り出す。丸太は表面が乾いていても、中は水分を含んでいるため、一気に彫ると必ず割れる。彼の作品にとっては小さなヒビも致命的なダメージとなるため、彼は乾燥の度合いを見ながら、何カ月もかけて彫り進めていく。
木の性質を踏まえたこうした技術について、僕は、彼や木工職人に遠く及ばない。僕の玩具はわが子に遊ばせたいという思いから、半ば我流で作り始めたものなので、今そこに差があるのはしょうがない。これから磨きをかけていこうと思う。
電話をした日は休日だったが、彼は制作をしていた。聞けば、ノミを持たない日はないとのこと。彼はその道に入って14年になる。著名な賞を受け、彫刻の制作だけで家族を養い、立派な工房も建てた。にもかかわらず、昨年初めて開いた個展について「やっとスタートラインに立てた」と言う。
最初、彼がすごくストイック(禁欲的)に制作しているように感じたけど、話しているうちに、休まないのは常に楽しんで作っているからでは? と思った。以来僕も楽しむことを意識しながら作るようにしているけど、それは技術を身につけるのと同じくらい難しい。
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