皆さんこんにちは。
こちらは先月始めのゴールデンウィーク中に雪が降り、驚かされた直後に桜が咲き、今ではセミが鳴いてて、1ヶ月の間に一気に冬から夏になりました。
こちらに引っ越して来て3年。せっかく四季がはっきりした場所にいるのに、いつも仕事で気持ちが一杯一杯で四季を感じることもなく過ごしてきたので、今年こそはしっかり季節を感じながら過ごしたいと思うところです。と言いつつ、今日も仕事になってしまいましたが。
とりあえず、今回も昨年3月の北海道新聞「朝の食卓」掲載分を紹介させて頂きます。
2010年3月6日
「幻想的な光景」
現代美術の作家にジェームズ・タレルという人がいる。日本では10年程前に大きな展覧会が開かれ、話題となった作家で、僕の大好きな作家の一人だ。
彼の作品は、真っ暗な空間の中にほんのりと柔らかい光を発光させるのが特徴で、その光を見ると何とも言えない不思議な気持ちになる。昨冬のある日の日没直後、仕事を終えて職場の外に出たときのことだ。僕の職場は周りに建物のない山の中腹にあるが、彼の作品と同じような光が辺り一面に広がっていて思わず息をのんだ事がある。驚きながら見渡しているうちにその光景はあっという間、わずか2~3分で暗闇の中に沈んだ。
日没直後、雪は光を吸収しているのだろうか? あるいは目の錯覚なのか?
そのメカニズムは分からないけど、見慣れた光景が幻想的に変わったその時の様子は今も目に焼き付いている。
その後、なぜかあの幻想的な光景とは出会っていない。
東京から戻って2度目の冬。気温がマイナス10度以下にまで下がった日は、仕事で使う機械がスムーズに動いてくれなかったり、こんな寒いところによく人が住んでるな、と自分の故郷ながらつい思ってしまうけど、あの光景を思い出すと帰り道が楽しみになる。*(玩具デザイナー・芦別)
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