4/5 (木)
7時起床。1階でクロワッサンを買って朝食。久保田に、ダイニングに椅子を並べてBが寝ている事を伝えると、久保田がBにマントラのベッド(オレが使っていたところ)を使って寝てくれと言いにいった。すると、Bは急に元気になって動き出す。久保田曰く「起きていきなりトップギアに入れられる男(つまり朝からハイテンション)」Bは「ところで君たちはなんだってこんな早くに起きてるんだい?僕は普段10時に起きてるんだよ。今はまだ7時じゃない。」と、ものすごい早口の英語でいう。
久保田がそれに対し「日本人は普通、7時には起きてる」と答えると、Bは日本のおばちゃんが「あらやだ、奥さんたら〜」と言う時の手の動きをしながら「ア、ソ〜」とドイツ語で返事をしてベッドに戻った(ドイツ語の「ア、ソー」は日本語の「あ、そう」と同じ意味)。
久保田は引っ越しの準備のため9時頃、一人で部屋を出た。
Bは今晩もここに宿泊するらしい。という事は今晩も寝具が一つ足りない。
昨晩Bがそうしたように一人が椅子を並べてそこに寝るしかないのだが、それを今晩もBにさせるのは悪いので、オレかフクカワ君がそこで寝る事にしよう。Bにそう伝えると「このベッド(マントラのベッド)は大きいんだから、ここで僕と一緒に寝ればいいじゃない?その方がいいよ。あの椅子は寝るには堅すぎるよ」と言われる。
マジですか・・・?
即答しかねる提案だったので「じゃああとで3人で決めるよ」と爽やかに答えて、奴の前からさっさと立ち去る。
オレはぜってー嫌だぞ。フクカワ君、お前があいつと一緒に寝ろ。
部屋を出てからフクカワ君にBからの提案を話し、そういって脅迫したのだが、いや吉岡さんが一緒に寝るべきですよ、吉岡さんが使ってたベッドだし、吉岡さんにその話をしたのだから、と生意気にも反論。てめ〜〜!!
しかし、オレは絶対一人で寝るぞ。どうにかしてフクカワ君のベッドを奪い取り、フクカワ君をBのところに追い込まねば。
朝から二人でブルーになって出発。
フクカワ君はトラムを使って中心部へ出るのだが、オレは海外に出るといつもそうしているように今日は一日歩く事に決めていたので、そのままアレキサンダープラッツに向かい、駅でベルリンの地図を購入。その地図で現在地を確認しながら17時頃まで気の赴くままに歩いた。
途中、3年前に来た時は建設中だった、ブランデンブルグ門横のユダヤ人追悼記念碑に立ち寄ってみた。敷地内はお墓のようにも見えるコンクリート(?)のブロックというか柱というか、そんな物が無数にあり、中に進むにつれ、どんどんそのコンクリートの高さが高くなり、コンクリートの森のようになる(敷地の外側から見るとコンクリート自体の高さはどこもあまり変わらないのだけど、コンクリート柱の間の道が中に入る程にどんどん下がっていくのでその分コンクリート柱が高くなる)。こども達や若いカップルがそこでかくれんぼをしていた。日があるうちはそんな遊びが出来る場所だが、夜、ここに入るのは結構勇気がいる。死角が多すぎる。
16時頃、アレキサンダープラッツに戻ると、テレビ塔のふもとの方から音楽が聞こえてきたのでそちらに近づいて行くと、管楽器+ドラムという編成のバンドが演奏していた。
カッコ良すぎる!!そして渋すぎる!!
そこには既にかなりの人が集まってた。
日本は、もちろんそうじゃない人もいるけど、こういう場所で演奏してるほとんどのミュージシャンはアコースティックギター2本のデュオで「アイラ〜ビュ〜〜イエ〜〜〜(アイラビュ〜〜〜 ←コーラス)」みたいなのが圧倒的に多い。そしてそれを見たガキどもがそれを真似して駅構内で「アイニージュッイエ〜〜(ニージュイエ〜〜 ←コーラス)」みたいなのを演奏し・・・。いや、いいんですけどね。でも、もうちっとどうにかならんのかね?と正直思う。そういう連中を見る度に恥ずかしくなるんですよ、僕は。
演奏が終わったところでサックスプレーヤーが彼等の前に自分達のCDを置いたのでそれを買おうと思い、彼のところに近づき「ハウマッチ?」と訊いたのだが彼は前歯が1本ない間の抜けた顔で「ナントカオイロ(オイロはドイツ語のeuroの発音)」とドイツ語で答えるだけ。英語が話せないらしい。他にもCDを買ってる人が何人かいて、その人たちが15ユーロ払っていたので、オレも15ユーロ渡してCDを購入。
そのCD、ジャケットはダサダサなのだが、バンド名を知ってそこでまたもや心を鷲掴みにされた。バンド名「KALASHNIKOV(カラシニコフ)」。渋い!!渋すぎる!!
オレの後にCDを買った人もオレと同じようにサックスプレーヤーに英語で話しかけ、それに答えられないのが分かると、ドイツ語でも話しかけてたが、彼はただルーマニア、ルーマニア、とだけ言うだけ。彼等はきっとルーマニア人なのだろう。その「ナントカオイロ」以外ドイツ語も分からないんじゃないかと思う。しかし、それでもこうしてCDが売れるのだから言葉が出来ないのは大した問題ではないのかもしれん。前歯がなくて間の抜けた顔をしているのも関係ない。
CDを買ったのだし、彼等が演奏しているところを写真に撮っても問題なかろうと思ってカメラを構えたのだが、サックスプレーヤーが連呼していた「ルーマニア」という言葉から嫌な思い出が蘇ってしまった。オレはルーマニアでエライ目に遭った事がある。それを思い出し、ここで写真を撮ったらまた恐ろしい事になるのではなかろうか、CDの売上金をバンドの後ろで徴集しているマネージャーらしきおっさんがコワモテだし・・・。そんな事を考えて、ビビった状態で撮った写真はバンドメンバーが重なり合って表情がよく見えない、ウンコみたいな写真でした・・・。しかし本当に演奏はすごいかっこ良かった。本物のカラシニコフはまずいが、この人たちなら是非とも日本に来てほしい。誰か日本に呼んで下さい!!(http://fanfara-kalashnikov.com/ ←10曲くらい聴ける)
部屋に戻ると久保田が引っ越しの準備をほぼ終わらせて一休みしていた。今晩はオレが飯を作るよと言うと、じゃあ僕は酒を買います、ベルリンじゃあ日本で吉岡さんと飲むようには飲めないから、今日は久々にべろべろになるまで飲みたい気分です、というので二人でスーパーに買い物に行く。
調理には少し時間がかかり、二人を待たせてしまったが、まあまあ旨く作れた。その後3人で久保田が買ってきたビールと赤ワインを飲み、その他に部屋にあった全ての酒を飲み尽くし、久保田が望んだように皆ベロベロになったのでそろそろ寝る準備。
じゃあフクカワ君、今日はオレが簡易ベッドを使うから、キミがマントラのベッドで寝てくれ。あ、Bは今晩、どこかのオープニングパーティーに行くと言ってたから帰りは遅くなるらしいよ。
久保田も、フクカワ、テメーBと一緒に寝ろ、お前変な目であいつを見て失礼だぞ、大丈夫だ、安心しろ、と無責任な事を言って脅迫していた。しかし、フクカワ君は最後まで椅子を並べてそこで寝ますという。
そんな事したら、Bが傷付くじゃねーか。
そう思ったが、優しいオレは、ダイニングで寝ているフクカワ君が夜遅くに帰ってきたBに「ここじゃなく、向こうのベッドで一緒に寝ようよ」と言われて起こされる事が無いように、ダイニングにある椅子を全部、久保田の部屋に運びいれ、フクカワ君が安心して眠れるようにしてあげた。
フクカワ君、感謝したまえ。
Bはホモです。
Posted by: otokokubota | 05/08/2007 at 04:25 PM
な、なんて事をいう!!
Posted by: mohican | 05/10/2007 at 03:46 PM